東北4県の碁会所を訪ねる旅の初日です。
訪れたのは、青森県弘前市。
津軽、です。
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田植えの終わった田んぼの向こうにお岩木山

弘前を選んだのは、昔の “つがる”に興味があった為。

つがるのイメージは――
雪深く、寒風が吹き荒れ、人は物が言えない。
江戸時代は四分の年貢に苦しみ(全国ほぼ共通)、娯楽もなし。
年に一度、
自分達の村を訪ねてくる“瞽女”(ごぜ)の語り唄を楽しみ、
夏祭りの“ねぷた”を待ち望む。

そんなイメージでしたので、
真っ先に向かったのが、弘前公園横の“津軽藩ねぷた村”。
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津軽三味線演奏者・山田里千美さん

弘前に来て、津軽のイメージ、全く変わりました。

現地で聴く、津軽三味線の音色やビート。
ねぷた絵のダイナミズム。
とてもアグレッシブで、寡黙な人たちではありません。

そして、ねぷた村の中庭に、棟方志功作品の“登り絵”が。

忘れていました。
棟方志功、津軽の出身でした。
一見不器用そうで、強引で爛漫な作風。

――そうか、津軽の風土が棟方の版画を育てたのか


ぶらり碁会所アドヴァイザー・滝沢千晴さん、
「弘前に行くなら、弘前城は見た方がいいですよ。
 碁会所なら、山道町囲碁クラブがあります。
 弘南鉄道の“中央弘前駅”を探していけば、駅のすぐ近くに有名な教会があって、その2軒どなりです」
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曳家された弘前城天守

弘前城は、江戸時代から現存する、関東地方以東で唯一の天守です。
ちなみに江戸時代から現存する天守は、全国で12城のみ。

弘前城の後、碁会所まで市内散策です。

120年前に建てられた“青森銀行記念館”。
  薄いグリーニッシュブルーの、バロック調の二階建洋館。
コーヒーを喫みに入った喫茶店、“壱番館”。
  壁のメニューに、ブルーマウンティン、キリマンジャロ等々。

弘前市、とてもハイカラです。



『山道町囲碁クラブ』

山道町囲碁クラブは、弘前市で唯一の碁会所です。
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午後1時過ぎ、
碁会所のドアを開けると、どなたもいらっしゃいません。
声をかけると、右手からおばちゃんが。

用件を伝えると、
それでは席亭に電話しましょう、と。
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秋元弘一・席亭 80歳 六段

「お仕事中、予約なしでお邪魔して申し訳ありません」
「いえいえ」

秋元さん、(株)北斗医理科という医療サービス法人の会長さんです。
お忙しく、これからも2時半に予約があるとのこと。


― お客さんの姿が見えませんね・・・
「定休日の翌日は、特に少ない。
 皆さん、大体2時過ぎ頃に見えます」

― この碁会所、どの位経ちますか?
「う~ん、25、6年位経つかな~」

「始めは、葛西慶子さんという女性の方が経営していました。
 初代ですね。
 葛西さんがお亡くなりになり、相沢保正さんが引き継ぎ、
 次に赤平満夫さんが引き継がれた。
 皆さん、お仕事を持ちながらの兼業です」

「10年前、碁会所を閉めるとなり、
 客同士で話し合う中で、私が引き受けることになりました。
 ですので、四代目になります」

「ご存じのように、碁会所経営は大変なので、
 6年前、息子に言って北斗医理科の一部門に組み込みました」
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秋元さんが囲碁を覚えたのは、青山学院大学時代。
本格的に打ち出したのは、そのまま東京の会社に就職してから。

ご子息の秋元真樹さんも碁を打つようになり、現在5級。
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秋元さんのお話の端々に感じるのは、
囲碁を、地域貢献・地域活性化のツールに役立てられないか、
という思いがあるようです。

ひろさき囲碁感謝祭、
つがるこども囲碁大会、などがその一例。

ひろさき囲碁感謝祭は、
2016年から2019年まで、4回開かれました(現在休止中)。
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プロ棋士達の70面打ち 画像:弘前囲碁まちづくり実行委員会
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懇親会の挨拶をする秋元弘一さん 画像:弘前囲碁まちづくり実行委員会
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プロ棋士を交えた懇親会 画像:弘前囲碁まちづくり実行委員会

東京と大阪から、毎年同じ5人の有名プロ棋士を招いています。
プロ棋士との70面打ちと、懇親会が目玉。

主催者は「弘前囲碁まちづくり実行委員会」。
豪華な囲碁イベントを通じて、
地域振興・教育・観光の側面から弘前のまちづくりに貢献しています。


碁会所内に戻り、
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壁に掛けられていた写真。
秋元さんが、プロ棋士たちに囲まれています。
(前列左から二人目)

「この写真は何ですか?」
「日本棋院本院の隣にある囲碁スタジオで、対局した時の写真です。
 感謝祭の打ち上げの時、テレビに出ないかと誘われ、
 酔った勢いで受けてしまいました」

対局相手は、秋山次郎九段。
解説は、小松英樹九段。


「ごんさん、私はちょっと出かけますが、3時過ぎに戻ります。
 それまで碁を打っていてください。
 私と一局打ちましょう」
「ありがとうございます。
 でも、これから秋田に行かなければ」
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山道町囲碁クラブのベランダから見た市内風景

弘前駅に向かう途中、秋元さんの言葉を思い出していました。
「津軽人の性格、明るいですよ(笑)。
 決して根暗ではありません」


さあ、特急列車が来るまでの間、
滝沢千晴さんに勧められた日本酒、弘前の“豊盃”を頂くつもりです。

しかし、駅前の飲食店はすべて準備中。
駅ビルのお土産店をはしごすると、年配の店長が、
「豊盃は、生産量が少ないので、いま市中にないようです。
 観光客の方達が残念がっています」

残念です。
次の機会があれば頂きましょう。


山道町囲碁クラブ
青森県弘前市山道町12-1 201号
0172-37-0115