70歳すぎても、碁が1目半伸びた方がいます。
井上豊郎さんの”人物紹介”です。
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井上豊郎さん

はじめて井上さんを見かけたのは、曽我部会(現、棋聖会)。
次に見かけたのが、夜中の、新宿・熊野神社前の“京”
次に見かけたのが、夜中の、西武新宿駅前の“秀策”

「あの方、だれですか?」
「井上豊郎さんですよ」
「60歳から本格的に碁を覚えて、70歳で5段になり、80歳で6段の上クラスです」

井上豊郎
日本歯科大学時代に囲碁を少々覚えますが、その後ご無沙汰し、60歳をすぎて再挑戦します。

<聞いた話>
治療室で歯の麻酔をしたあと、となりのテーブルを引き寄せ、引き出しを開けると碁盤に碁石が置かれています。
横になっている患者さんに、
「ねー、この後、どう打つの?」

見た目、背が高くいかつい感じです。
「そ~なんだよ、それで損をしているんだよ~」
話しかけると、途端ににこにこ顔になります。

「神楽坂がホームグランドと聞きましたが、近くにお住まいですか?」
「そう、生まれたときから富士見町だね。オヤジも祖父も」
となりから、
「お爺ちゃんは、ロート目薬の開発者だよ」

祖父、井上豊太郎
父、井上二郎
祖父の豊太郎さんが、日本で眼科卒業後、20年間ドイツ留学をします。
帰国後、大阪から商人がやってきて、
「大衆目薬を処方してほしい」

出来上がった目薬に“名前”が必要です。
豊太郎さんが留学中にお世話になったのが、ロートムンド教授。
その名を取って、“ロート目薬”、つまり“ロート製薬”

<羨ましい話>
毎年、2回プロ棋士を招いて食事会をします。
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左から滝沢千晴さん、上村陽生九段、大矢浩一九段、井上豊郎さん、園田泰隆九段、一人置いて、信田成仁六段

この度お声がかかり、同席させていただきました。
神楽坂のフランス料理屋。
「酒井真樹先生、来ないの?」
「宇田川光一さん、都合が悪くなったって」

プロ棋士に囲まれて、一つテーブルで食事・会話ができるのは素晴らしいです。

「井上先生に、われわれプロ棋士が連碁で、指導碁を打ったことがあるよ」
「アマチュア一人に、プロが束になって指導碁?」
「そう、舞い上がっちゃったよ~」

去年3月、韓国・ソウルで行われた日韓大学囲碁OB/OG交流戦では、初出場ながら1勝1敗でした。

「棋聖会、第4リーグに落ちそうだよ~」
「何をおっしゃいますか、七段が目前じゃあないですか」