日本福祉囲碁協会の、ボランティア棋士活動シリーズ(2/4)です。
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写真左から、石井郁夫さん、本島靖夫さん、安部健さん=東京都障害者福祉会館前で

「入会したのは平成6年5月、63歳でした。
 新聞記事で福祉囲碁を知り、当時の事務所、代官山のマンションを訪ねました。
 小さな団体で、実働30人位だった。
 当時は“若手”と呼ばれましたがね、来月で87歳ですから、最古参の一人です」

「37年前に、当協会を設立されたころの方たちは、すべてお亡くなりになりました」
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本島靖夫さん

「分かってはいたけど、退職したら、毎日が日曜日。
 囲碁を本格的にやりたい、と思いましたね。
 一から猛勉強しました。朝から晩まで囲碁の勉強でした」

多趣味な本島さん、ゴルフ、マージャン、将棋(初段)をやめて、囲碁一筋。
退職時は二段でしたが、福祉囲碁に入会した後も勉強を続け、日本棋院規定の試合で“六段”を認定されます。

――60歳過ぎて、二段から六段? ご同輩たち頑張りましょう
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東障囲碁サークル 例会風景

東障とは東京都障害者の略称で、港区にある東京都障害者福祉会館に本拠を置いています。

平成2年、小林光一プロ棋士が福祉会館に、大盤と碁石を寄贈したのがキッカケで囲碁の催しが行われました。
同年、福祉会館が日本福祉囲碁協会に、ボランティア棋士の派遣を要請し、酒井精一さんら4名が初めて派遣されます。

平成6年に入会した本島さんも、半年後に派遣されました。

――お付き合いが始まり、実に27年

囲碁サークル例会は、本島さんの“初級講座”、自由対局。
毎週金曜日と第二、第四日曜日の、月6回。
会員30名に、ボランティア棋士10名ほどがお相手します。

本島さん、二面打ちをしながら、一手々々、はっきりと、分かり易く教えます。
ある会員が、「教え方を教えてもらったよ」と言うほど。

となりで石井さん、
「えっ? そこに来るの? う~ん、じゃあ、私はこっちへ」
「あっ、そうか~」

初級者のおばさんが、サークル会長の渡邉汎泰さんに、
「だって、石、取られるの、もったいないわ」
「もったいないなんて言ってないで~」

皆さん、身体に不自由があるのに、朗らかでよく笑います。
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本島さんの用意したテキスト(毎回)

本島さん、大田区のデイサービスセンターへも、ご老人を訪問しています。

「昼休みと、その後の自由時間に碁を打ちます。
 お一人は初段くらい、生き生きとした碁を打ちます。
 もう一人のお相手さんは、体調を崩して入院されましてね。心配です」
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福祉囲碁東京大会 第1会場 (写真は平成27年度)

毎年秋に行われる“福祉囲碁東京大会”――
日本福祉囲碁協会の、一大イベントです。

今年は35回目の大会になります。
ボランティア棋士が訪問している在宅、施設の障害者、高齢者ら、100名近くの“選手”が参加します。
介助者、大会運営するボランティア棋士を含めると、会場は200名を越えます。

毎回、大変賑やかです。

ボランティア棋士たち、今年もしっかりおもてなしするでしょう。
大会の終わった後の、“飲み会”も楽しいし――


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